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2008年11月3日(月曜日)

パリをスケートするデザイナー、Ivana Omazic

カテゴリー: - spiky @ 13時34分54秒 このエントリをはてなブックマークに追加このエントリをdel.icio.usに追加このエントリをTagClickに追加
 雑誌『フィガロ』の最新号(11/5, No.375)に、Anna Suiなど有名なデザイナー達の日常生活特集が組まれているのですが、その中に運動をかねてパリの街をインラインスケートで移動しているデザイナー、Ivana Omazic(イヴァナ・オマジック)の記事が載っていました。

 

 

イヴァナ・オマジック: Ivana Omazic

 

 34歳のクロアチア出身のデザイナー。Celineのデザインを手がける等で有名な方のようです。で、特集のページに大きく掲載されている、CR(City Run;街乗り)しているイヴァナの写真、とってもおしゃれなのです。(あたりまえか)

 

 Celineのデザインを手がけているだけあって、パリの街にとけ込む装い。

 

 でも僕が注目するのは、ウェアよりもむしろ、街乗りスケーターとしての基本を押さえたスケーティングスタイルに在ります。スケーターでない人が見れば素敵なコーディネートの一部にしか見えないでしょう。さすがにそこまではファッション誌には書かれてませんでした。 全体的に黒で目立たぬよう統一しているので、ウェアとうまく調和がとれてます。

 

 まずはキャップ。頭部を守るために、特にCRの際はヘルメットを装着が望ましいのですが、しかし「いかにも」という感じのヘルメットを避ける人も多く、その代わりに様々なキャップ等でプロテクションしている人も多いです。彼女の場合は、すっきりとした黒の革製キャップ。おしゃれと安全をうまくバランスさせてます。

 

 それから、これだけは絶対に忘れては行けない、両手のプロテクター。ごく一般的な手のひら側にプラスティックの保護材の入っているもののようです。

 

 ボトムは黒のレギンスかタイツだと思われますが、細く美しい足を美しく見せるよう膝パッドは、小さめのやつを使っているようです。そう、CRの際には、プロテクターの選定にも一工夫している人たちが多いのです。なるべく目立たず身体のシルエットと調和するようなものを選ぶケースが多いかな。もちろん一方でストリート系のファッションの場合は、そういったスケーティングスタイルを全面に主張するようなプロテクタをする人もいます。小さめだけれどもしかししっかりと膝を守ってくれるタイプのものとしてはRollerBlade製のものがあったかな。僕も膝用にはRollerBlade製のコンパクトなものを使ってます。

 

 そして最後に最も興味をそそる、足ものとのスケート。ぱっと見た感じでFILA製のものであることがすぐに分かります。(ロゴもFILAと見えてはいますが)特徴的なのはウィール(タイヤ)を保持しているフレームと呼ばれる金属パーツのデザインです。これはFILA独自のActive Steering Frameと呼ばれるもので、これを作っているのはもちろんFILAだけです。

 

 この黒のすっきりとしたモデルはFILAの2007年モデル"NIGHTHAWK 18+”

写真1 黒を基調とした,落ち着いたデザインのNIGHTHAWK 18+

 ブーツは靴底にレーシングブーツでは定番の固くて軽いカーボンが使われており、プラスチック製などのフィットネスブーツと違って非常にコンパクトにかつ足にぴったりとフィットさせることができ、シルエットがすっきりしているのが特徴的です。

 

 しかしレーシングブーツと違い、しっかりとカフ(くるぶしまわり)まであって、甲の部分はあしをしっかりと靴底に密着させるためのレース(ひも)になっているのに加え、浮きやすいかかとを上から押さえるためのベルクロのベルト、そしてカフはしっかりバックルで固定できるようになっています。特にCRの時はカフ部分が在る方が楽に滑れるし、安全上もポイント高い。

 

 街を滑るときは、歩行者、自転車、車、そしてその他様々な障害物に常に気を配りながら、滑る必要が在ります。場合によっては急に減速して方向転換をしたり、停止できねばなりません。インラインスケートの減速/停止の方法としては、大きく2つにわけられます。左右どちらかのかかとについているヒールブレーキを使う方法と、片足のウィール4つの内側側面を進行方向にむけて路面におさえつけるTストップ系の2つの方法が在ります。町中ではなるべく停止動作の際に、必要とする周りのスペースが小さいスタイルがより有効であり、そういった意味ではTストップ系やさらにはダイナミックで見た目もかっこいいスピンターンやパワースライドといったスペースを要する方法よりも、ヒールブレーキの方が場所を取らず、どちらかといえば実用的です。

 

 しかしヒールブレーキをかけるには、当然かかとを強く路面におしつけるために、足先を「ぐいっ」と力を入れて持ち上げる必要が在りますが、滑走スピードや路面の傾斜によってはとても此の力だけでは制動をかけられない場合が在ります。また自動車の街乗りと同じく、加速/停止を繰り返すので、ヒールブレーキは疲れるのも事実。そこでカフの存在が重要となってきます。カフでしっかり足首を固定しておくことで、さほど力をいれて足先を持ち上げなくても、しっかりと足を前に出して、足全体でヒールを路面に押し付けることが出来るのです。なので、特にヒールブレーキを街乗りで多用するスケーティングスタイルの場合は、カフ付きモデルを選ぶのが必須です。

 

 ブーツの話に戻りますが、ブーツとその下のフレームとは2ポイントで固定されており、ピッチ(間隔)は標準的な168[mm]のようなので、同じ規格の別のフレームとも交換できるようになっています。

 

 で特徴的なのは、Active Steering Frameと呼ばれる、前2輪と後ろ2輪が別々のマウントに装着されており、前2つと後ろ2つをマウントしているこのパーツが車のタイヤよろしく、微妙に左右に回転するようになっています。これによって非常にカーブ(旋回)しやすくなっています。急激な方向転換を要するケースもあるCRにはまさにうってつけかもしれません。

 

 そして最後にウィール(タイヤ)はLenticularの90[mm]/83Aが4つ。最近はレーシングブーツでのウィールの大口径化のトレンドが一般的なブーツにもみられ、2004年頃は街のりでは76[mm]が主流だったのが、その後80[mm]となり、そして、現在は90[mm]が主流となりつつ在ります。基本、ウィールは系が大きな方が楽に滑走でき、また特にCRとかでは路面状況が様々に変化するので、路面の凹凸や段差を乗り越えたりするのに有利です。(点字ブロックとか。。。)で、もちろん径の小さなウィールよりも大きな方がスピードも出る。

 

 しかし一方で足うらしたの高さが高くなるので、乗り込むときに径の小さなものにくらべ、よりバランスを必要としますし、滑走時にしっかりとプッシュするためにもフレーム上にきちんと重心をのせ、まっすぐに力を伝達する必要も在るという、中/上級者のスキルも必要となってきます。

 

 "83a"というのは、83がウィールの硬度、aがウィール断面の形状を表します。ウィールの固さというのは、柔らかければ、そのぶんしっかりと路面に食い込み横にずれにくい反面、動摩擦がおおきくなり、トップスピードが伸びにくいという特徴が在ります。一方固いウィールは、摩擦が小さくなるのでスピードが出やすい反面、路面のグリップが低くなるという特徴が在ります。通常フィットネス等の一般向けブーツの場合は、76〜80程度が多いのですが、それからすると83というのは若干固め。これも90mmという径、そしてそれに必要とされるスキルとのバランスでこの固さとなっているわけです。

 

 aという断面は、ごく一般的な断面形状で2次曲線に似た断面をしています。一方ホッケーやアグレッシブ系の径の小さなウィールはスライドさせやすいよう丸い形状をしています。

 

 このNIGHTHAWK 28+というモデルは上級者用のカーボンボトムのブーツに、より楽に安定した走行を可能にするカフを加え、スピードののりやすい90mmというウィールによる直進安定性と、Active Steering Frameによる旋回性能を両立させた、まさにCRにうってつけのモデルと言えるでしょう。またこのグレードの中上級者モデルでは、派手目なカラーリングのモデルが多い中で、黒で統一されているレアなモデルで、CRでファッションのアイテムとしてスケートを考えたときにコーディネートしやすいなかなか貴重なモデルです。

 

 日本国内ではFILAを扱っているところは少なく、多くがRollerBlade, Salomon, K2といった感じですが、一方でインラインスケートの盛んなヨーロッパ、パリ等ではFILAも結構メジャーなのです。

 

 日本国内でこのNIGHTHAWKが買えるところは少ないのですが、スケートのインターネット販売最大手のj-sk8("sk8″と書いて、"スケート"と読みます)ではすでに売り切れ。いまざっと見たところ扱っているのは、

  • S-Four(東京都千代田区神田小川町3-2水野ビル4F)
  • Doing(名古屋)
 くらいのようです。j-sk8が最も安くて32,800円だったのですが、どっちにしても手に入りません。S-Fourは関東のスケーター御用達のお店。もともと同じ神保町にあったクロサワスポーツが閉店し、そこの熱いスケーターの店員の方々がオープンされたお店です。いろいろと相談に乗ってもらえると思います。 僕自身はまだFILAにはのったことが在りません。この稼動するフレームも興味津々で、そしてそれ以上にデザインと色がグッドです。

 

 記事にイヴァナが書いているように、パリの町中はスケートで移動するのに非常に良いところで、以前仲間とスケート遠征をしたときに、ルーブル美術館やコンコルド広場、オルセー美術館、そしてノートルダム寺院と早朝のセーヌ川に沿って滑ったり、モンサンミッシェルへの快適な路面を飛ばしたりしました。 ツアーで行く殆どの人が知りませんが、パリはインラインスケート天国なのです。毎週金曜日に開催されるナイトスケートには数千人規模でスケータが集まりますし、また毎週日曜日のサンデーアフタヌーンスケートは、初心者や家族連れも加えてゆうに1万人を超えるスケーターがパリの街を滑ってます。ある意味スケート版の青梅マラソンが毎週開催されている感じ。集団の前後にはスケートを履いた警官隊や白バイ隊、パトカーが走り、先行する白バイやスタッフが、交差点や路地を封鎖して、スケーターの集団がそのあとを通過して行きます。

写真2 毎週開催,サンデーアフタヌーンスケートの出発地点であるバスティーユ広場

写真3 パリの街中を滑走中の集団。あまりに多すぎて先頭がどこなのか不明。。。

写真4 パトカー、白バイ隊とともに、スケートを履いた警官も伴走します。

写真5 モンサンミッシェルまでの道をスケート。海風がさわやかで気持ちがいい

 自転車専用レーンがもうけられているパリの街中はスケートでも非常に移動しやすく、ところどころ石畳になっている交差点では、この90mmのウィールが威力を発揮することでしょう。きっとイヴァナも、多くのスケーターと同じようにパリの街乗りを楽しんでいることでしょう。

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